2015年2月18日水曜日

マニアック読本?

ある人は、Kに言いました。

「なんていうか、キミはマニアックなんだよね」。

どうも、テレビっ子疑惑プンプンのKです。

なんていうんでしょうねえ、好きになったことをただ突き詰めたいだけなんですけど、さすがにこの本を読みながら、私はなんていうかマニアックなのかもしれないと思って。



ズバリ、いろんなドラマで名脇役(=バイプレーヤー)を演じている俳優さんたちに1冊かけて迫っていくぜ的な本。
いるじゃないですか、あのドラマでは脳天気かつポケっとした人だったのに違うドラマでは厳しい父親役、みたいな人、そういうやつ。

最近だと滝藤賢一さん(半沢の同期の近藤さんですね)とか松重豊さん(今月9で主人公の父親やってますね)、女性だと吉田羊さんとかよく見ますよねえ。
昔からよく見る人だと小日向さんとかそうですよねえ。HEROの末次さん。


どういう経緯で俳優になりましたっていうのを語る人、あるいはライターさんが記事を書いて「この役者はこれこれこーいう経緯で舞台から映像にうつった」みたいな話とか。
大泉洋さんとかも浪人して大学入ってみたいな紆余曲折があったし、TEAM NACSの面々は留年したりとかしてるわけでw
それを思うと、むしろそういう一見無駄なんちゃう?ていうのが後々どうなるかわからないものだななどと思ったりするわけです。


俳優さんたちの、さっきのドラマではこういう役で違うときには正反対の役柄を演じてたりするわけで、それに近づくためのアプローチとか、実際にやっているのを見ると、音楽に通ずるものがあるんですよね。きっと。
例えばベートーヴェンやった次にプーランクやるとしたら、全然違うと思うんですよね。
その作曲家の住んでいたところやその時の演奏法も違うし、その時良しとされていて作曲家が「うむ、これでいくべや!」と思ったものも違ったりするわけで・・・

もっとも、ベートーヴェンとプーランクならただやるだけでも全然作風が違う(ってまあ別人が作ってるからね。)、ていうのは誰が聞いてもわかるけれど、演奏者によって当然出てくる顔が違うわけで。
「この人がこの曲やったらどうなるんだろう」って言われる人になれたら、良いなあとか思っていたら、それに類似することがやはり書いてあったので、やっぱり根本は一緒なのかもなあと。

なんていうの、「あれ、この人ってこういう音も出るんだ!」「この楽器てこういう音楽も出来るのか」みたいな。
(演奏会の)プログラムを見た時に、「こんな曲やるんだ!意外だけどどうなるんだろう!」て思わせたら、こっちのもんですね〜。

それを思うと、主役みたいなことやってるくせにバイプレーヤーみたいな、多彩な顔を持ってる人になりたいですね。
(最も、主役をバンバン演る人でも多彩な顔を持ってる人はたくさんいますが。)

ちなみにこの表紙の戸次重幸さん。
すいませんこの本読むまでずっと「HEROで吉田羊さんの離婚した元旦那の弁護士やってた人」でした。長い・・・


以上、ドラマはわりと見るけどワイドショーとバラエティは全然見ないんですよねえ・・・ Kでした。
ってことで、テレビっ子でなーーい!!!w

2015年2月11日水曜日

連続Blog小説「Youは何しに金沢へ」 第3話

「それで?」
もうひとりの私が図1左上のコーヒーカップをソーサーの上に置きながら言った。

図1

「いろいろ食べられていいねえ、コレ」
「そうじゃなくて。兼六園に行くとかいかないとか言ってたじゃない。」
「ああ、行きましたよ。日本最古の噴水があるっていうんでカメラで撮りまくって、

白黒も奇抜な色のも撮った。

泳ぐ鴨を見つつ水面に写る雪吊りを見たり、


もうなんか切実すぎるメッセージを思わず撮ったり、



 雪吊り見たり。今度は撮影クルーもいたし。」


「砂浜にメッセージ書くっていうのは知ってるけど、雪に書くとは・・・ 儚いわね。」
「溶けるからね。」
「でもこうして写真に撮ってBlogに載せるなんてした時点で、この叫びは永遠のものになったわけね。」
「誰が書いたのかわからんけどね。」
「そんで?」
「その後?その後は・・・」

といって思い出すと、ひたすらここまで歩いた記憶しかない。しかもその歩いた時間の3分の1ぐらいは、実は無駄足でしたというオチであった。
まず、兼六園を出た私は、店の前を通るとそのお店のおばさまたちがまるでオート化されたかの如く、「お抹茶いかがですか〜」「暖かいですよ〜、さ、いらっしゃいませー」と呼び込みに出てくる通りを抜け、地図を見ながら次なる目的地へと向かうのだが、どうやらGoogle先生の示す方と私の歩いている方向が違う。
これが世に言う、方向音痴誕生の瞬間である。
いつもはだいたい勘で歩き出すと方向があってるのだが、今回の旅は最初の美術館へと向かう時も、やはり反対方向に歩き出していた。すぐさま気がついたから良かったものの、携帯のマップを過信することも、とはいえ自分の勘を信じることも出来ず、もう、何も信じることなど出来ない・・・ 人間不信ならぬなにもかも不信に陥りながらこの旅は始まっていた。
この頃になると、ああ、寒い、帰りたい、帰りたいよぉ・・・ でもフライトは18時なのだ・・・ そしてこの孤独と向きあえば、私はまた強くなれる、と、哲学的なのか松岡修造的なのか、はたまたその両方なのかという思想を頭のなかで展開しながら、結局はやはり携帯のGoogleマップを頼って歩き出していた。

「で、ここにおみやげを買いに来たついでにお腹がすいたから、観光名所とも言われる市場を横目にここで温まりながら図1のランチを堪能している、と?」
仕上げに抹茶シフォンケーキを食べながらもう一人の私は聞いてきた。
「そんなところです。ていうか食べないでくださいよ」
「いいじゃないあなた抹茶嫌いでしょ」
「いや、ここまで来たら食べますから。ていうか最近そうでもないから」
「嘘ね。だって兼六園でお抹茶とお茶菓子をいただけるところを何度も通りながらも抹茶苦そうだからなあと当り障りのない当たり前なコメントをして去ったじゃない。」
頭のなかで自分とつまらない論争を繰り広げていたところ、店内にひとりの女性が入ってきた。
制服のようなものを着ていて、察するにここの商業ビルに入っている他のお菓子屋さんの店員と思しき格好である。
女性は、
「急に食べたくなってしまって。」
と照れ笑いをしながら、このレストランの店員にオーダーをした。

ふと、その時
「今日は、過ごしやすいですね」
と、声がした。
しばらくして、私に話しかけられているものだと自覚した時には、
「そうですね」
と答えていた。さっきまで凍えていたのはどこの誰なのか。

とはいえ、確かに警戒していたほどではなかった。
雪がザーザーと、ーそう、しんしんと、ではないぐらいー降り積もり、今回の旅の主題歌は松任谷由実のブリザードになるのかと思っていたが、結局のところそんなことはなかった。

翌々聞かなくとも、その女性は金沢市民であり、今日の気候は暖かいほうであるようだったが、私が神奈川から来ました、ということを告げると、彼女は目を丸くした。
「ならばとても寒いのではありませんか?」
と、聞かれたが、思ったほどではないので安心したと返した。
会話はそれで一段落し、彼女のもとへオーダーした甘味が置かれた。

彼女が店を去るとき、私に「ごゆっくり。楽しんでって下さいね」と言い残していった。
そのときの彼女は、私という観光客に対して"おもてなし"をしてくれたように思う。
私は小さくお辞儀をして、彼女が去っていくのを見ていた。
自分の地元にお客さんが来たら、何が出来るのだろうか。

会計を済ませ、再び寒空の中歩き出した。
歩いていると、先日Twitterでご紹介頂いた金沢蓄音器館に辿り着いた。


ここまで読んで頂いたあなたならわかるだろう、全くの無計画旅なのだ。
なので、紹介してもらってWebサイトまで見ながら、場所の確認をろくにしてなかったのだ。
それでも辿り着いた、ーこれは運命なのではないか、と思って表を見てみたら、大丈夫、ちゃんとやっていた。
がしかし、蓄音機を実際にお聞き頂けますの時間は1時間前に終わっていた。次のを聞いたら、フライトを逃してしまうため、ここもやはり再訪せねばならない。
嗚呼、無計画旅。

そうして歩いていると、ついに、私が探している風景が出て来た。

そう、それは、風情ある金沢の町並み、である。


は・・・!絵に描いたような風情ある町並み!!しかしながら観光地化されていない、少々厳かな雰囲気を残しつつ、のこの町並みである。
早速私はカメラをトイカメラモードにし、


撮った。
少々ダークネスな感じというか、お手軽に"味がある"風に撮れる、ってやつである。
しかしこれはまだ、片鱗に過ぎない。
もっそい「街角」なのだ。

そうしてしばらく歩いていると、出会った。



風情のある金沢の街、観光地化されている編、である!!
どうしよう、私は少しうろたえた。
風情のある町並みが現れた!
たたかう・あるく・どうぐ・逃げるのオプション!
どうぐは勿論、


カメラである。


撮るべし!!!


撮るべし!!!


撮るべし!!!


撮るべしィィィィィィ!!!!!!!!

と、一人旅で一見寂しそうに見えそうだが、心のなかではヾ(*´∀`*)ノキャッキャしていた。
キャッキャ、と変換したら一発目に顔文字が出てしまった。恥ずかしい。


だんだんとフライトの時間が近づいてきたこともあって、ここから歩いてJR金沢駅まで20分ほど歩いてみることにした。
Google先生のマップによると、裏道のようなところを行くと、ごく普通の住宅街のようなところを通り抜けたりした。
そしてこの写真のメッセージに辿り着いた。


この時、日本だけでなく、世界が悲しみの中にくれていた。
邦人2人が人質に取られ、2人の生還がほぼ絶望的と言われていた時期だった。

このメッセージを出した住民がどの方なのかはわからない。
どういう思いでこれを出したのかもわからない。
聞けばよかったかもしれないが、想像してみることで、深読みをして自分なりに咀嚼してみることにした。

そう思ったか?
「それは今、世界中で誰もが一番欲してるものであってほしいな」。


その民家にハッとしたのもつかの間、歩いて歩いて、ついに出くわした。


現代建築的な金沢駅が現れた!!!
どうする? たたかう・あるく・どうぐ・にげる
まあ、あるく、と道具→カメラである。

金沢には、先ほどの趣きのある風景と、こうした現代建築とが同居しており、非常に興味深い街であった。
今思うと、先日赴いたオランダもそういうふうがあり、伝統的な町並みと、奇抜な建築とが同じ街に存在している。
非常にアンバランスなようで、しかし均衡が保たれている風でもある。
一見相反しているようなふたつのものがこうして共生している街というのは、いったいどういうことなのだろう。
ますます、興味を持った。

やや早かったが、バスの時間の関係でフライトの1時間半ほど前に金沢駅を出るバスに乗って空港に向かった。
思ったよりも多くの人がバスを利用しており、随分と金沢全体が賑わっていたように思う。何せ、この日は平日で、しかも美術展などの施設は休館日というのが多いにも関わらずここまで人がいたとは、思ってもみなかったのだ。

「また来ないといけないわね。」
もうひとりの私が言った。
「言わずもがな。」
「今度は、月曜じゃない日にね。」
「皮肉かッ。」
「違うわ。あなたの学習能力にわずかな期待をして言ってるのよ」
「学習能力ねえ。」
ため息混じりに自分の今日の旅を反芻した。

「またいらっしゃいよ。」
もうひとりの私がそう呟いた。
そしてそれを言い終わると、もう一人の私はこれ以上何も言わなくなった。
その代わりに聞こえてきた、「羽田行き18時10分、ただいまより搭乗手続きを・・・」というアナウンスに、私は席をたった。
金沢に、多すぎる後悔を残したまま。


<< 完 >>

2015年2月5日木曜日

連続Blog小説「Youは何しに金沢へ」 第2話

白状する。

だいぶ小説風に書くことに対し、飽きがきている。

何故このような書き方をしようと思ったのか ーそのためにも、金沢ノープラン旅について触れないわけにはいかないのだー・・・。



   *


かの川端康成は、国境の長いトンネルを抜けると雪国であった、と言った。
私は雪国を読んでいないにも関わらず、知りもしない川端康成に思いを馳せながら、小松空港へと降り立った。

そして、短い可動橋を抜けると確かに雪国であった、がしかし雪はほとんどなかった。
天気は曇り。時折雪が降ったりやんだりの繰り返しで、生ぬるい程度に雪国の洗礼を受けながらの観光。


石川県の真ん中に位置する金沢市は来る3月に開通する新幹線の開業に湧いていたようだった。


この日がちょうど40日前で、「春をつれてやってくる。」とか言っても40日前のきょうは、まだ2月なのだ。
先に断っておくが雪こそ積もってはいなかったが寒かった。この後この寒さがジワジワと我が身を襲わんとするのを、この時はまだこれから起こる楽しいことに思いを馳せている私は気が付かなかったのだ。

しかしこの写真を撮る前に、既に少しだけ心が折れていた。

話は一時間前に遡る。


小松空港から金沢市の私が降りたバス停までは一時間弱かかる。
その道中、iPhoneの画面を操作しながら私は情報を探した ー金沢21世紀美術館の行き方、及び休館日の案内を見るためだ。
まさか、そう、私は恐れていた。まさか、美術館が休館日なんてことはなかろうか、と。

忘れものならば、買えばいい。
パンがないなら、お菓子を食べればいい。
しかし、美術館は、展示が月曜日お休み、と表示しているのだ。

木村は激怒した。必ず、かの自由奔放な己自身をどうにかせにゃあと決意した。
木村には政治がわからぬ、が、木村は、デジタルネイティブである。笛を吹き、iPhoneやMacBook Proと遊んで暮らしてきた。
情報に対しては、人一倍に敏感であった。

はずだった。

そうだろう、そうだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・!!

幸い、休館日、というものは存在せず美術館そのものは開いていたので、とりあえず訪れてみることにした。
(写真がちょっと暗いなあ。後悔。)

一面ガラス張りの建物で、ずっと直に見てみたいと密かに憧れていたのだ。
建物はきれいな丸になっており、黄土色になっている草木の上を雪が覆ってあった。天気が悪いため、せっかくこの面白い建築を写真におさめたいと来たはずなのにカメラを向けることさえためらわれた。

勿論、中には入ってみた。しかし、明日の展示会に向けて準備をしている者、本日はお休みですと表示をしながらも中で件名に作業をしている司書の人、休場日という隙を狙ってやってきた撮影クルー、そしてきっと毎日のように来ている近所にお住まいのご年配の方、と断定出来る人。

ハッキリ言おう。
アウェーである。

もっとも、ここをホームだと思ったこともなければそんな期待もしていなかったが、コミュニティスペースにおいてあるソファに座って雪を眺めていても心やすまるばかりか、「このままレッスン変更のメールが来ませんように・・・」と祈っているばかりであった。
もはや、心どこにもあらず、だ。

もう一人の私が言う。
「いい加減にしなさいよ」
私は一応言い返した。
「何が。」
「レッスンの段取りなんてね、早めにやっておけば済んだ話よ!ついでに美術館の休場日だって先に調べておけば済む話。」
「そうですそうです」
はいはい、完敗です。長渕剛が聞こえてきますよーだ。
「それは乾杯でしょう」


そんなアホな会話を誰にも悟られぬまま、とりあえずハコそのものは堪能したということで、美術館を出ることにした。
出てみると雪がすっかり止んでいて、雲の隙間から光が差し込んできた。
ちょうどいい塩梅に、雨宿りになったようだった。
ありがとう、金沢21世紀美術館。I'll be back、とそう言い残して、美術館を後にした。


   *


次に向かったのは金沢城。

石畳である。
このような石畳の道が恐らく500メートル程度は続いていただろうか。木村には距離感覚がわからぬ。


実はこの門の前に来るまでにも少々苦労があった。
というのは、当初私が歩いていた側だと、階段のようなものがなく、反対側の道路に渡らなくては登れないようであった。
私は最初に気がついたのだが、渡ってみて向こう側に目をやると、地図の前で立ちすくんでいる観光者がいたようだった。
というのは、この金沢。
観光スポットに来てみると、実に外国人の方が多い。
何せ、何も考えずにすれ違った際に韓国語を喋っているもの、広東語、英語、・・・エトセトラエトセトラ。
しかしながら美術館はさておき、道路標示などが日本語しかないのだ。
海外からの観光者への施策はどうなっているのだろう、そんな事を思うのならば貴様がやればいいだろう、ーそんな思いが去来しなかったわけではないが、私の思惑はさておき、恐らくそうした事とこの先直面せざるを得ないのだろう。

さてこの金沢城。
入場料か何かで300円程度取られるというようなことをどこかで見たことがあったはずなのだが、私は一銭も払っていない。
何故か。

ズバリ、その入場料がいるエリアは大絶賛工事中であった。

あるいは整備中とも言う。

なんでもいいけど、節約旅行者にはもってこいな状況であったのだ。

悔しかったのでミニチュア仕様で写真を撮ってみた。



「金沢って秋とかにふらっと行くといいんじゃないの?」
後に母を通じ姉に言われたことである。
知らん、そんな金沢。これが私にとって金沢はじめて物語なのだから。

そしてこういうの(図1参照)がいろんなところにあるという金沢しか知らん。

図1
これが世に言う雪吊りである。
しかし今日の気候ならこれはただの観光地仕様でしかないのだ。
勿論、これがこの木を保持するために必要であるというのは知っているが・・・。

「ゆきずりの恋とか、そういうエピソードないの?」
もうひとりの私が問うた。
「えらいストレートだなあ。ゆきずりってなに?」
「ググれカスっ」
少し古い気もする現代的な返しを食らう。
「ゆきずり・・・ 道ですれちがうこと、偶然とおりかかること、」
「その次よ」
「かりそめ。」
私の頭のなかにはもはや仮面舞踏会しか流れてなかった。
「今日も、寒いわね。」


一人旅だと自分からいかなければ人とあまりしゃべらないのである。
しかも高い確率で海外からの観光客が多かった。
このまま私は最低限のことしかしゃべらないのかなと思っていた、その時だった。

私が金沢城の整備中ゾーンを外から眺めていると、初老の夫婦が通った。紙はブロンドで、いかにも欧米のいずれかから来ましたといったその初老の2人は、私に向かってこう言った。
「Good morning!」
私も笑顔で、「Good morning!」と返した。
海外では、初対面の人から話しかけられたり、逆に話しかけたりすることもまれに有るのだが、何故か私はどこか心を閉ざしていたのかもしれない。
そんな事を思った、と、ふと、私は一人旅という一見誰とも接触しない事を自主的に選びながらも、ほんとうは誰かとコミュニケーションをとりたいのでは、という矛盾を孕んだ思いに気がついた。
かの有名なサッカー選手が「孤独に浸かる」ことについて説いていたが、こうして一人の時間を作ることで、自分と会話をし、自らを知るのだ。

「ま、あなたは常にもうひとりの自分と会話してるじゃないの。」

ああもううるさいなああそんな月九で杏と会話してる和久井映見(亡くなったお母さん)みたいなことを自分でやりたいわけじゃないんですよわかるかなあああああ。


肝心の金沢城であるが、その整備中エリアや、工事中の現場が多かったためか、ただひたすら広大な土地が広がっていたという印象だった。
何もなく、ただひたすら土地が広がっている。
きっと季節が違えば、花が咲いていたかもしれない。芝生が青々としていたかもしれない。
冬の一人旅には寂しく、しかし新幹線の開業を今か今かと待つ金沢市民に同調するかのように、金沢城にも春の景色が広がることを今か今かと待ちつつ、城を後にした。


門を出ると、すぐに兼六園の入り口がある為、そのまま向かう人が多いようだ。
私はどうやら途中で順路を間違えたようで、大回りしてまたスタート地点へ戻る、というような、そこそこ不毛な思いをしつつも、また坂を登り兼六園へと向かった。


   *


編集者注: 続く兼六園は語らせるとそれなりに長いと判断した為、次回手短に写真でお伝えしつつ、そろそろ幕を閉じる準備に入ろうと思います。


著者コメント: えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ嘘だろうッッッッッ

2015年2月4日水曜日

連続Blog小説「Youは何しに金沢へ」 第1話

何故私はここにいるんだろうー・・・

そう気がついた時には、私は金沢の地へ降り立っていた。

   *

きっかけは、一通のメールだった。

「マイルの失効日が近づいています」。

無機質なPCの画面に写るJALのメール。
ご丁寧に通知を送ってきたのが全てのはじまりで、私の右手はすぐさまマイレージバンクのページへと私を誘った。

本当はその時、旅よりもAmazonが良かった。インターネット大手の方のAmazon。私は、ネットに広がる熱帯雨林的商店の方が好きだった。
ずっと狙っていた。

しかし、JALは私にこう告げた。

「不正アクセスを確認した為、Amazonギフトへの交換は現在停止中です」。

残酷だ。
天使のテーゼより残酷だ。
再開を予定していますって書いていたのに、未だ寸止め感MAXだ。
ていうか未だ再開を延期してますと表示している。

もう、終わりだね。
彼は、私の元へは来ないかもしれない。I know I'm not the only oneじゃないって、Sam Smithも歌っていた。私も、同じことを言う日が来たのよ。
だから、手を引こうー そう思った。


そうすると不思議なもので、私の元へいろんな男が言い寄ってきた。

「僕のところへおいでよ。美味しいワインを用意して待ってるよ」。
ご存知ないようだから教えておくわ。今のところソムリエやソムリエールなるワイン漫画を読んだし、城アラキ先生は大好きだけれど、ワインにはまだ興味がなくてよ。

「オレは、お前の電子マネーになる!」
そう言ってきた男もいた。彼は、WAONと言った。
しかし彼は知っているのだろうか、私の家の近所にはイオンもないし、WAONはあまり需要がないということを。

比較的魅力的だったけど、私からお断りした男もいたわ ーSuica特典。
確かに彼は言った、「日本は交通費がかさむって怒ってたろ?僕でよければ力になろう」。
ええ、私は常々交通費がかさむと言っていたし実際今も思っているし、っていうか私の収入の半分ぐらいを貢いでるんだから、その分返してよ・・・!そう思った日々もあった。

でも気がついたの。
せっかくの特典でしょう?
そんな現実的なモノを求めてる女がいないってこと、この男は気がついてるのかしら。
そう思ったら、いつの間にかSuicaはもう、私に言い寄ってこなくなった。

そんなときだった。
「K, オレにしろよ。オレを選んでくれたら、BOSEのノイズキャンセリングのヘッドフォンだって数千円で買えるんだぜ」
そう言ってきたのはビッグカメラのポイント交換サービスだった。
彼は「オレなら、お前の欲しがっていたRICOHのTHETAだってディスカウント出来るんだ」。そうも言った。
彼は、やたらと横文字の多い男だった。
大学のエデュケーションだけではパーフェクトではないと教えられてきたからこそ、こんなに横文字の多い男、大丈夫なのかしらと、懐疑的だった。

でも彼はとても、魅力的だった。
少なくとも、私の好みを熟知してるかのようだった。
でもー・・・

振りきれなかった。
私の中に突如現れた、アイツ。

一目惚れだった。
いや、会う前から、恋に落ちるとわかっていた ーそんな気がした。


そう思った時には、もうビッグカメラは私のことを追いかけなくなった。


そして私の右手が選んだ、アイツ。


JALグループ国内線特典航空券。


いわゆる、マイルで旅するってヤツ。
本当は、彼みたいな人にずっと憧れてた。そう、これだ!と・・・。


そして決めた。

「私、金沢へ行く・・・!」


「あなた、何しに行くの?」
もうひとりの私が尋ねた。

「わからない。」
「わからない? 誰かが待ってるとか」
「そんな、私のことなんか誰も待ってはいないわ。でも、行くのよ」
「何故、金沢なの!?」
「何故って・・・。」
「焦って決めなくても、まだ時間はあるわ。まだクラスJだって空席よ。だからほら、広島とか、秋田とかあるじゃない!」
ためらいがちに、しかしその声を断ち切るように、私はこう続けた。

「こういう機会でも無ければ、行かないかもしれないからよ。」

こうして、私は数カ所の行きたいところの目星だけをつけ、金沢への日帰りノープラン旅を進めていくのだった。

しかし、この時の私は知らない。
たまたま特典予約航空券を予約した月曜日は、お目当てのひとつである21世紀美術館が休館日だということをー・・・。


連続Blog小説「Youは何しに金沢へ」 第2話へ、続く!



   *

(終わってないのに)編集後記: え、まだ続くの!?w

2015年2月1日日曜日

もしあの人が私の試験の演奏を実況中継したなら

雰囲気は 飲まれるよりも 飲んでやる


どうも、Kです。
まったくもってありがたくも無い一句でした。

さーて、試験が終わりまして、どう振り返ろうかなぁと思ってたのですが、せっかくですから、ネタか!というように振り返ってみようかなって。

ということで、不真面目な文体で真面目に振り返ります。



----------(/・ω・)/にゃー!----------




実況: 2014年度 後期試験、3年生になりました、Kの演奏をお届け致します。解説は、SAXOFOCUS!!強化副部長の岡松修造さんです。岡松さん、よろしくお願いします。

岡松: いやぁ、あのですね、僕がまさかこの肩書きで登場すると思わなかったんですが、僕は、ジュニア時代からずっとKのことを見てきて、僕はもうそんな言えることがあるのか、とも思ったんですけども、こうしてSAXOFOCUS!!に呼んで頂けたということで、精一杯お伝えしていこうと思います。

実況: ちなみに岡松さんは、松岡ー・・・

岡松: いや、別人です!
声色も容姿も似てますが、僕は錦織ではない方のKを、皆さんにお伝えしていこうと思います。

実況: ははぁ、と、いうことだそうです。
えーさて、今日演奏するのは、ウェニャンのラプソディの、2、3楽章ということなんですけども、直前の公開練習(おさらい会)をご覧になって、いかがですか?

岡松: 皆さんはあの時、あぁ今回はダメKか、と思われたかもしれませんが、僕は言いたい!あの時は、Kの演奏が全然出来ていない!
まだ、ダメだ、暗譜大丈夫かな、・・・。
全然、演奏にも集中出来ていないような状態で、それでもなんとか、という状況だったんですね。

実況: なるほど。
今日はその点を修正して、暗譜ではやらない、との公式発表でしたけども。
あ、そうですね、楽譜もって入ってきてますね。

岡松: 今シーズンのKは、今まで課題であった音程、音色。これを強化してきたみたいですので、注目ですね。

実況: なるほどなるほど。
・・・。
さ、序盤ですけども、いかがですか?

岡松: ちょっとチューニングの時にノイズを含んだ音をしてたので、K、大丈夫か?と思ったんですが、その点については修正出来たようですね。
ただですね、僕が、Kに言いたいのは、

実況: はい。

岡松: 後に審査の先生方から言われることと重なるのですが、ちょっと間の作り方がいまワンパターンになってしまってるんですね。

実況: 間、ですか。

岡松: これだと、お客さんも聴いてるうちに分析されてくわけですから、もう手を知り尽くしているぞ、て状態になるんですね。

実況: すると?

岡松: そうすると、どうしても「あ、またか」て読まれてしまう。
でももっといろんなものがあるはずだし、そこをもっと引き出していって、僕らをびっくりさせて欲しいですね。

実況: なるほど。
他にも後に音色のことも指摘されることになるんですけども、その点については・・・

岡松: これもやっぱりですね、最初から最後まで一緒だと、お客さんも慣れちゃうんですよね。
いくら、きれいな音でもですね、あぁ、またか、音もか。てなる。でも、そうじゃないだろう!と僕は言いたい!

実況: やはりでは音色のバリエーションといいますか、まぁその点がやはり今後課題として残っていく、と、ぉー言うことになるかと思うんですけども。

岡松: 他にもやはり、硬い音というバリエーションが増えてくる、ですとか、あとはもう少しお客さんが身を委ねたいと思わせる、そんな表現をしていって欲しいんですね。

実況: 身を委ねたい、ですか。

岡松: 別に媚びろ、ということではないんです。
が、もっとハッとさせるような間の取り方、変化の仕方、そういうのがある中で、「あ、いいなぁ、この流れ・・・」ていう瞬間が、欲を言うと、もっと欲しいなって思うんですね。

実況: えー、現にですね、少し連符が流れる傾向にある、というようなことを指摘されることになるんですが、こちらについては何かありますでしょうか?

岡松: もう僕にはKがどういう意図でそうしてるのか、わからないこともありますけれども、ただ、思っているとおりに吹けているところ、そうではなく流れてしまったところ。
もう少し、こういった細部にまで意識を持っていけるようにしてほしいところですね。
まあ、わざとかどうかよくわからないんですけどね。笑

実況: このウェニャンのラプソディという曲、この曲は特に3楽章では大変速いパッセージがたくさんあるんですけれども、これをただ吹くだけでは練習曲になってしまう、と、そういう懸念もあるという事かと思うんですけれども、

岡松: はい、そして実に、フレーズが長いんですよ。

実況: 実際息継ぎ、みたいなところでも結構たいへんなんじゃないんですか?
あれって持つものなんですか?

岡松: 正直ね、僕は、難しいと思うんです。
ただし、やっぱり上手いプレーヤーというのは、いかにして長いフレーズを、肺活量という制限があるなかで聞かせていくか、ということがやはり上手いと思うんですね。

実況: 具体的には。

岡松: 息そのものが長い、つまりは肺活量がもともとある、みたいなところであったり、やりくりが上手い、というのもありますが、ただし、Kができることっていうのはこのへんじゃないと思うんですね。

実況: と、言いますと。

岡松: 実際こういったフィードバックを後々受けるとは思うのですが、ブレスの方法なんかがやっぱり改善の余地がありそうなんですね。循環奏法を用いるとか、いろんな手段がこの後とれると思うんです。

実況: 他にも短い時間でいかに吸うか、ってところでしょうか、・・・あ、あー・・・ 最後までなんとかいきましたけど、最後もったいなかったですね。ちょっとサイドキーやフラジオのあたりで混乱したのかな、という印象ですが。
元々混乱しやすい箇所だ、とコメントでも言ってましたが、あ〜このフレーズは・・・ もったいなかったですねー。こういう時って、どういうことを考えてるものなのでしょうか?

岡松: やっぱり一流のプロになろうって人と、そうじゃない人。
何がどう違うって、メンタルがやっぱり強いかどうかっていうのは非常に大きいんですね。

実況: メンタル、ですか。

岡松: やっぱりこのへんでちょっと何かいい流れがなくなってしまったかな、と思ったりもしたんですけども、それでもなんとか最後の最後では立て直しをはかってますから、僕は、K,よく踏ん張った!!僕はこう言いたい!
実際、こういう時って「あぁ・・・」ってしまいそうになるんですけども、その前がわりと良い流れで来ていたからこそ、なんとか流れを失いたくない!我慢の時間帯なんですね。ここでモノを言うのが、メンタルです!

実況: なるほど。まあなんとかまあ押し切った、という印象もしますけども、それでも終わらない曲はないのだと言わんばかりに、なんとかフィニッシュ致しました!

岡松: 最っ後の最後で、なんとか、持ちこたえてくれた・・・!と僕は思いましたし、お疲れ様!と言いたいところですが、それでもあえて、僕はKに、もっと強くなれ!! ってこう言いたいですね。
世界で戦うには、もっと、メンタルを磨く必要があるんですね。

実況: そうですか〜。
全体の総括としては、今回如何ですか?

岡松: 今回ね、先日の試演会の時に、Kは、全然集中出来なかった!とそう言ってたんですね。それで策として編み出したのが「顔で吹く」って事だった、と僕に教えてくれました。

実況: か、顔ですか。。。それはどういう・・・

岡松: ひとつ、僕はKに謝らなければいけないんですけども、僕も最初「なんのこっちゃ?」と、そう思ったんです。
でも、それが本番でスイッチとなって、最後の方は楽しそうな顔をしていた!そしてそれなりに音として現れた!のであれば、間違ってなかったんだ!とそう証明出来たんじゃないかって僕は思うんです。
確かに、多少音楽的な表現としてはカタさが残ったかもしれませんが、それでもKは伴奏合わせ当初、上手いこと自分を表現出来なかった。いっぱい表情を持っているのに、それを上手く出せずにいたんです。
それが、こうして出て来た。
この演奏を聞いた時僕は、今年1年で、Kがどれだけいろんな人からインスピレーションを受けたのかが見えたようで嬉しかったし、そして、これでまたひとつKがまた強くなった!と、僕は、確信しました!

実況: さぁ、演奏を終えたKの、インタビューが・・・ あー始まりますね。

K: えー、今回は・・・ そうですね、ぇーまあ、上手くいったところ、ダメだったところ、いろいろとあったんですけども、よくも悪くも自分が出たな、って感じでした。
もう少し、グッと引くところがあってもいいなとか、いろいろ思ったんですけど… とりあえず無事に終えられて、ホッとしています。

インタビュアー: 今回はどういう準備をされてきたんでしょうか?また先生方から何か本番前に言われたりとかっていうのはあったのでしょうか?

K: そうですね、えー・・・ 自分ではちょっと技術的なところで必要以上に詰めすぎたな、って思うところがあったので、前日はあまり、軽い調整だけにして、・・・出来るだけ吹かないようにしたりもしたんですけど、それが功を奏したような、そうじゃなかったような。まあちょっとわからないですけど。
「会えない時間が愛育てるのさ」方式でいったんですけど、ってさっき言ったらすっごい勢いでドン引きされました。笑

インタビュアー: それはそうですねえ。笑 で、他には?

K: (そうとか言うなよ・・・) 他はまあ・・・あのー 自分のやりたい事を、出せるようにしようっていうのと、技術的な面としてはちょっとテンポを直前に落としたりもしてみたら、連符もいつもより少しだけ余裕があった箇所もあったりしたので、そういったところは、まあ良かったと思います。

インタビュアー: 次、またいろいろ本番があると思います。最後に一言、お願いします。

K: そうですね、ぇー まぁなかなか、自分が思う100%の事ってできることはないんですけど、その中で自分が何をどうしていくのか、とか、いろいろ考えながら、ぁーまた演奏聞いてもらえるように頑張るので。応援よろしくお願いします。

インタビュアー: Kさんでした、ありがとうございました!

K: ありがとうございました。


実況: ということで、岡松さん、いかがですか。

岡松: この先、曲のレベルも上がっていき、様々な困難もたくさんあると思いますが、Kなら、乗り越えられる!僕はそう信じています!

実況: ということで、いろいろと課題が見えてきた所で、皆さんとはお別れ、となります。ところで岡松さん、本当にこれKの事なんですよね?最近話題の錦織の方のKでは・・・

岡松: ・・・混ざってきてますかね?いや!一緒なのは名前だけです!

実況: ということで、解説は岡松さんでした。岡松さん、どうも、ありがとうございました!

岡松: こうしてSAXOFOCUS!!で解説させていただき、ありがとうございました。



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ということで、書いてみましたけど。
全豪オープンとか報道ステーションで、私のメンターである松岡修造さんが「Kが、」て言う度にこれ、一回やってみようと思いましたけど。

これ、自分でやると、

めちゃくちゃ阿呆である・・・



他に、「スーパーゾーン」とかいう単語も使いたかったんだけど、入れられる隙なく終わってしまいましたw だってそういう状態では多分なかったし・・・。


上部では相当フザけてますけれど、実際試験でやってみて、よくも悪くも自分が出たっていうのは本当。
最後の最後で集中が切れたわけじゃないけど、ズッこけて、でもこのままで終われるかッッ!!!って思って最後踏ん張りましたっていうのも本当。
そして終わった後に録音聞いて、先生たちから言われたフィードバックの内容も納得の一言。っていうのも本当。

そんでもって顔で吹くっていうのはちょとだけ嘘だけど、概ね本当。(ええぇぇぇぇ)

自分の表情なんてリアルタイムで見ること出来ないけど(鏡や動画じゃないと見れませんからね)、そういう表情をつくろうっていうのを顔からはじめているらしいです。

・・・幸い口は常にマウスピースくわえてますからね。表情バレにくくてよかった。w
でも課題として、和声が変わった時に、感じてるんだろうなっていうのはわかるけど、もっと大胆にやらないと、聞いてる側にそれは伝わらないよって言われた時に、そんな「表情バレにくくて(以下略)」とか言ってたらダメなんだなあとは思いますね。


ま、まだまだ頑張れます!


以上、わりと本気で松岡修造さん尊敬してるんですよ。ていうかこれとは別でちゃんと真面目に反省してますからッ!! Kでした。





Memo:
variation of tone colors
way of crossing bars
express transformation
breath